
今やInstagramは、写真や動画を投稿するだけでなく、情報収集のツールとしても活用される時代。特に「保存」機能は、ユーザーが「後で見返したい」と感じた投稿をストックしておく便利な機能です。不動産会社にとっては、物件紹介や地域情報を「保存」してもらうことが、検討段階のユーザーとの継続的な接点となり、集客・成約のきっかけとなる可能性があります。
本記事では、Instagramを活用して集客を行いたいと考えている不動産会社向けに、保存機能の基本から、保存されやすい投稿の作り方、保存数の確認方法までを徹底解説します。
1 なぜInstagramの「保存」が不動産集客に効くのか
Instagramの「保存」機能とは、投稿右下のリボンマークをタップして、後で見返せるようにブックマークできる仕組みです。ユーザーは「この情報は役立ちそう」「内見前に見直したい」と思ったときに保存します。つまり、保存されるということは、投稿がユーザーにとって“実用的で価値がある”と認識された証拠です。
さらに、Instagramのアルゴリズムでは、保存数が多い投稿は「良質なコンテンツ」として評価され、発見タブや検索欄に掲載されやすくなります。結果として投稿のリーチが広がり、新たなフォロワーの獲得や問い合わせにつながるチャンスが増加します。
不動産業界においては、物件探しが一度で終わることはほとんどありません。ユーザーは複数の投稿を比較検討するため、「あとで見返したい」と思わせる投稿づくりこそが、成果につながる重要な鍵になります。

1-1 保存数・保存率の確認方法と活用ポイント
まず前提として、保存数を確認するには、Instagramアカウントをプロアカウント(ビジネスまたはクリエイター)に切り替える必要があります。設定画面から「プロアカウントに切り替える」を選択し、不動産業などの業種カテゴリを登録すればOKです。
プロアカウントにすると、各投稿に「インサイトを見る」というボタンが表示され、そこからリーチ数、プロフィールアクセス数、保存数などを確認できます。保存数はリボンマークのアイコンで表示されており、「この投稿が何回保存されたか」が明確に数値化されます。

保存は「いいね」や「コメント」と並ぶ重要なインタラクションの一種です。Instagramでは、「いいね」「コメント」「シェア」「保存」の合計を“インタラクション数”と呼び、エンゲージメントの総量として評価されます。特に「保存」は“後で見返したい”という強い関心の表れであり、Instagramのアルゴリズム上でも重視される傾向があります。
さらに分析の精度を高めるには、「保存率=保存数 ÷ リーチ数 × 100」で算出する保存率を意識しましょう。保存率が高い投稿ほど、ユーザーにとって実用的・価値のある情報と判断されます。業界の目安としては、保存率3〜5%をひとつの基準にするとよいでしょう。
2 インタラクション全体を高める月間インサイトの活用術
投稿単体の分析に加え、月間インタラクション(保存・いいね・コメント・シェアなど)の推移を把握することも運用改善には欠かせません。Instagramの「インサイト」→「アカウント全体のパフォーマンス」から、過去7日・30日など期間別の合計保存数やいいね数を確認することができます。

この数値を活用すれば:
- 今月保存数が増えた=投稿の方向性が合ってきた証拠
- 保存は増えてもコメントが少ない=情報は有益だが共感性が弱い
- インタラクションが少ない投稿を洗い出し、改善要因を探る
といった、より高度な分析が可能になります。
このように保存数・いいね数・リーチ数の推移を視覚的に把握することで、「なんとなく良かった」から脱却し、データに基づく判断ができるようになります。
また、保存数が伸びた投稿テーマを「シリーズ化」したり、「保存されたのにDMが来ない」投稿にはCTAを強化するなど、“行動につながる導線の設計”にも役立てることができます。
3 保存されやすい投稿とは?不動産業界に効く4つの型
保存される投稿には共通点があります。特に不動産領域では、以下の4つの型が実績豊富です。
① 内見チェックリスト投稿
「内見前にチェックしておきたい5つのポイント」など、現地見学時に役立つ投稿は保存率が高くなります。持ち物リスト、質問リスト、見落としがちな確認事項などをカルーセル形式で整理しましょう。
② 比較・解説系(構造・間取り)
「1LDK vs 2LDK、どちらがあなた向き?」など、ユーザーの選択を助ける比較系コンテンツは、判断材料として保存されやすくなります。住宅ローン比較、設備グレード、日当たりなども効果的です。
③ 地域紹介・住環境まとめ
物件周辺のスーパー、学校、公園など生活に関わる情報をまとめた投稿は、引越し検討中のユーザーに重宝されます。特に「〇〇駅から徒歩圏に住んだ人の本音」といったリアルな切り口が刺さります。
④ インテリア・暮らし提案型
物件の間取りやスペックを伝えるだけでなく、「この空間でどんな暮らしができるか?」をイメージさせる投稿は、保存されやすい傾向があります。特に、インテリアや部屋づくりのヒントを与える投稿は、ユーザーにとって“あとで見返したい情報”になりやすいからです。
たとえば、@your_room_is_goodでは、さまざまなテイストのお部屋を紹介し、「この家具いいな」「このレイアウト真似したい」と思わせるコンテンツを多く投稿しています。
こうした“ビジュアル+実用性”を兼ね備えた投稿は、ユーザーにとって“住んだ後のイメージ”が湧きやすく、「参考にしたいから保存しよう」と感じてもらいやすくなります。
つまり、不動産会社の投稿でも、「この部屋ならこんなインテリアが似合う」「1Kでも圧迫感なく家具を置くには?」といった”暮らしのアイデア付き物件紹介”にすることで、保存される投稿をつくることが可能です。
4 保存を促すキャプション・CTAのコツ
どれだけ良い投稿でも、ユーザーに保存を促さなければ行動に結びつきません。保存率を高めるには、**キャプションの最後や画像内で明確な“保存を促す言葉(CTA)”を入れましょう。
有効なフレーズ例:
- 「後から見返せるように保存してね」
- 「内見前にこの投稿を見直したい人は保存必須!」
- 「忘れがちなチェックポイントは今のうちに保存しておこう」
また、カルーセル投稿の最終スライドに「この投稿を保存して活用しよう」とアイコン付きで載せるのも非常に効果的です。
ポイントは、“保存するとどんなメリットがあるか”をユーザー目線で伝えること。ただ「保存してね」ではなく、「当日焦らないように」「引越し準備で失敗しないように」など、具体的なシーンを示すと行動を引き出しやすくなります。
まとめ
Instagramの保存機能は、今後の不動産集客において非常に重要な武器になります。保存される投稿は“ユーザーにとっての価値ある情報”であり、リーチ拡大と信頼構築の両面で効果を発揮します。
特に重要なのは次の3点です:
- 保存数・保存率・月間インタラクションを分析しPDCAを回す
- チェックリスト・比較・地域情報など、保存されやすい型を押さえる
- 保存を促すキャプションや画像内CTAを意識する
運用の指標に「保存数」「保存率」を加えることで、数字に基づいた戦略的なInstagram活用が可能になります。